そこには、君が
後ろでは女子たちがざわざわ。
注目される私たち。
分かっている。
2人が望んで女子に囲まれているわけでは
ないことは。
「…美味し、」
「ありがとう、ございます…」
語尾が小さくなる凛と目が合い、
黙って飲み物を持ちながらその場を離れる。
大和と京也は、黙って一緒に着いてきた。
「明香、たこ焼き食おう」
「凛、俺ポテト食べたい」
結局怒るに怒りきれなくて、
私たち4人はそのまま笑って
文化祭を満喫した。
「遅いね京也、」
突然京也が用事があると言い出し、
私たちはその場で待たされることに。
それから20分経っても、
一向に戻ってくる気配はない。
「凛」
大和は突然私の手を握ると。
「ここで京也のこと、待っててやってくんね?」
そんなことを言い出した。
本当に急すぎて、
私は口をぽかんと開けたまま静止。
「うん…いいけど、」
大和は了承した凛に、
悪いなと言った。
そして私の手を引くと、
その場から離れようとする。
どこに行くのか尋ねても、
何も言おうとはしない。
まあいいか、と単純な私は切り替える。
「ね、お化け屋敷行ってみようよ」
「行かねえわ」
こうして校内を2人で歩くのは、
なかなかないこと。
周りの視線こそ痛いけれど、
大和はそんなのお構い無しだった。
「じゃあ何する?」
「なんか食いに行く」
結局食べることしか頭にないのか、
構内図を見ながら、飲食販売を
しているクラスばかり探している。
「お2人さん、ちょっといいですか〜?」
突然後ろから肩を叩かれ、
振り向くと、そこには
カメラを持った生徒がいる。
腕には生徒会と書いてある腕章を
付けていた。
「写真、撮っていいですか?」
そういえば、写真撮ってないや。
そう思いながら、面倒臭そうな表情の
大和にお願いする。