そこには、君が





「撮ってもらおうよ」





「…まじ」






写真が苦手な大和だから、


断るかと思いきや、


意外にも了承してくれて、


一緒にカメラの前に並んでくれた。






「永森くんの彼女ですよね?」





男の子の方は大和と知り合いなのか、


少し仲良さそうに会話をしている。






「全然ラブラブしてもらってもいいですよ?」





「谷口、お前まじで覚えとけ」






楽しそうな会話の2人を眺めて、


大和が変わったなとしみじみ感じる。


昔なんて、誰とも話そうとしなかったのに、


今では色んな所に、話せる友だちがいっぱいいる。


永森くん、大和くん、と多くの人が


声をかけてくれているのを見ると、


大和も少しは丸くなったのかなって、


そんな気がしてくる。







「後で送るね」





「ああ、サンキューな」






生徒会の人と別れ、


もうぼちぼち文化祭の終了時刻。


時計を見ていると、


15時半ピッタリに放送が流れる。







「以上を持ちまして、文化祭を終了します。生徒の皆さんは、お気を付けて帰宅してください」






結局一度も凛や京也と合流出来ず、


文化祭が終了してしまった。


夜に4人で打ち上げしようと約束は


しているし、会えるとは思うんだけど。






「凛たち、結局何してんだろう」






「そろそろ結果出んじゃねえの」






「…結果?」






訳の分からないことを言う大和。


何のことだろうと頭を傾げると、


ポケットに入れていた携帯が鳴った。







「もしもし?凛?」





どこにいるの?って。


そう聞く前に、


凛は言った。






『明香、どうしよう…!』





「え、何?どうしたの!」





深刻そうな凛の声に、


思わず心配で声が大きくなる。







『あの、私ね…』






「…何、」






ゴクリと唾を飲む。


長い沈黙が張り詰める。


そして。






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