そこには、君が
そして週末。
クリスマス当日になった。
「どうしよっ、間に合わない…!」
焦りが声に出る。
今日のプランはまだ何も知らされていないが、
唯一聞いているのが、お弁当の用意だった。
どこでとまでは聞いていないが、
晴れるから弁当を作って欲しいと言うので、
昨日のうちから味付けをして、
下準備をしていた。
お弁当を詰め、時計を見ると、
約束の30分前で大焦り。
急いで服を着替えて支度を済ませ、
何とか時間に間に合った。
約束の時間ぴったりに、
家のチャイムが鳴る。
軽快に返事をしてドアを開けると、
そこにはいつもと少し違う大和がいた。
「よ」
「どうしたの、その格好…」
いつもの系統とは違う洋服で、
シャツにベスト、スーツのようなパンツに革靴。
そして長めのコートを羽織っている。
知らない人から見たら、
高校生に見えないスタイルだ。
「クリスマスだからな」
「…あ、そう、」
理由を話したつもりなのか、
私には微塵も伝わらないが、
言い返しても面倒なので、
とりあえず納得したフリをしておく。
「お前こそ、いつもと違うだろ」
「あ、気付いた?」
私は大和を家の中に通し、
服の違いに気付いてくれたことに
少し気分を躍らせる。
真っ白なワンピース。
ウエストまではタイトな感じで、
ボディラインは出ているものの、
下はふんわりとしたスカートで、
少しドレスのような作りになっている。
どんな場面にも適するんじゃないかと、
この日のために用意しておいたのだ。
「変、かな?」
「…胸、が、気に入らない」
そう言って大和はどさくさに紛れて、
私の胸を手で掴む。
「ほら、こうされたらすぐに触られるだろうが」
「そんなこと、大和しかしないでしょってば」
やめてよ、と身を離し、
お弁当の入った鞄を手に取る。
もう行く準備は万端だ。