そこには、君が
「到着」
「え、ここ!」
指差した場所は、
私の行きたかったお店だ。
フレンチが有名で、
三ツ星シェフがいるらしい。
そういえば行きたいって言った時、
分かったって言ったっけ。
「でもここ、予約いっぱいだったでしょ?」
「たまたま空きが出たらしい」
入るぞ、と。
大和は遠慮なくお店の扉を開ける。
「ご予約のお客様ですか?」
いらっしゃいませ、と男性が出迎えてくれる。
七三分けの髪が、何とも清潔感があった。
「永森様ですね。どうぞこちらへ」
メニューのようなものと、
グラスの乗ったお盆を持ち、
店内へ案内される。
そこには男爵貴婦人のような、
お金持ちです!という感じの人たちが
丸いテーブルを囲んでいた。
「ただいまお持ちいたします」
店員さんが頭を下げて奥へ行ったのを確認し、
大和に詰め寄る。
「ここ超高いんでしょ?本当に大丈夫?」
「ばーか。黙って楽しめ」
え、何。
そんなこと言われたことないし、
大和が言うから余計にキュンとする。
カッコ良すぎるんだけど。
「前菜から失礼いたします」
聞けばコースで注文してくれていたようで、
次々に運ばれてくる料理が、
どれもキラキラしている。
「美味っっっしい!」
「味わって食べろな」
「堪能してるよ!本当、来れて良かった!」
ここは予約が常にいっぱいで、
たまたま空くなんて奇跡である。
テレビでも報道されるほどの名門店で、
名高る著名人も来ることがあるのだとか。
実際に入口には多くのサインが
飾られていた。
「お食事はお口に合いましたでしょうか」
「もう絶品でした!」
褒める言葉が見つからない。
凄すぎて、こんな一般人の私が、
評価するのが烏滸がましいくらいだ。
「では、」
すると、店員は。
大和の隣に行き。