そこには、君が





「食べたい!」




「好きなだけ食えよ」





新年早々、私はこのケーキで、


少し太ったのは言うまでもない。


それから3学期が始まり、


高校最後の学校生活が始まった。


新居に初めて招待した京也と凛は、


羨ましいと目を輝かせていた。


3年生の登校日は約2ヶ月。


その間、4人で色々集まって、


パーティをしたりゲームをしたり、


他の部屋からクレームが来るほど騒いで遊んだ。


それでも毎日というわけにもいかず、


2ヶ月の間、大和と2人で新婚模擬生活を


存分に味わった。







「明日で卒業だね」





「本当、あっという間だった!」





学校からの帰り道。


明日の卒業式を終えれば、


晴れて私たちは高校生ではなくなる。


最後の日は4人で登校する約束をし、


今日はお泊まり会をすることにした。






「明日卒業式が終わったら、次の進路の関係でしばらく会えないということで、今日は騒ぎまくるぞー!」





京也が仕切ってくれる。


みんなで用意した飲み物を片手に乾杯し、


それぞれの話したいことを話した。







「じゃあ3年間の1番印象に残ってること、言っていこ!」





凛の提案により、


それぞれが思い出深いことを


言い合った。







「じゃあ私から言います!」





言い出しっぺの凛は手を挙げ、


コホンと咳払いをした。






「私の一番覚えてるのは、入学式の日!」





入学式といえば、


凛と初めて出会った日。


私と凛は初日で意気投合し、


それからずっと一緒に居たんだっけ。






「明香と京也、大和くんの3人がたくさんの人に囲まれてたのを、今でもハッキリと覚えてる!」





そういえば、そんなこともあったっけ。


私は記憶を彼方から呼び覚まし、


何となくで思い出した。


理由は覚えていないけど、


帰ろうとしていた私たち3人が


色んな人で揉まれ、転けそうになったことを


思い出した。


あろうことか女子たちまで群がってきて、


最悪の初日だった気がする。





「でも本当に明香と出会えて良かったって、本気で思ってるよ!」





「凛…、」





心にジーンとくる言葉。


私だって、そう思ってるに決まってる。






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