そこには、君が
「危なっかしい明香や、天然な京也の面倒を見てくれて、本当にありがとう」
「ちょ、大和!俺って天然なの?」
「危なっかしいって、何それ」
大和は至って真剣に伝えていたようだが、
私と京也は全然納得がいかず、
大和を両側からパンチした。
「じゃあ、次は私だ」
大和から視線を送られ、
パスを受ける。
私の、3年間の思い出か。
「私、今まで友だちって、別に必要ないって思ってた」
ずっと中学の時は、
大和と京也のそばにいた。
女子とも当たり障りなく過ごしたけど、
別に大して仲良くなれずにいた。
分からなかった。
どう仲良くなるのかが。
「こんなこと言うのも変だけど、私嫌がらせを受けてた毎日だったから、それに慣れちゃってさ」
この人たちのせいでね。
そうやって嫌味を含めながら、
笑って凛に言ってみた。
「大和も京也も、女の子と仲良くなろうとしないし。私はそばにいるだけなのに、疎まれるし。本当最悪って思ってた」
高校の入学式の日。
凛と話すまでは、
高校も絶望的だとしか思っていなかった。
そんな私が変われたのは。
凛がずっといてくれたから。
それに、大和と京也が、
凛を私の友だちと認めてくれたから。
それが1番大きいような気もする。
「私が高校で1番大きな出来事は」
凛が、居てくれたおかげで、
今の私がある。
「本気で大好きな、親友が出来たこと」
大和も、京也も、凛も。
私にとってはかけがえのない人だ。
「凛、いつもありがとう」
「明香ぁぁ!」
凛は涙を流して私に抱きついた。
こんなことで涙を流すなんて、
昔の私には考えられない光景だ。
「なんか俺ら嫌味言われてたけどね」
「その都度、守ってたつもりだったけどな」
男2人はブツブツ文句を言いながら、
私たちそれぞれを摩ってくれた。