そこには、君が





「危なっかしい明香や、天然な京也の面倒を見てくれて、本当にありがとう」





「ちょ、大和!俺って天然なの?」





「危なっかしいって、何それ」






大和は至って真剣に伝えていたようだが、


私と京也は全然納得がいかず、


大和を両側からパンチした。






「じゃあ、次は私だ」





大和から視線を送られ、


パスを受ける。


私の、3年間の思い出か。







「私、今まで友だちって、別に必要ないって思ってた」






ずっと中学の時は、


大和と京也のそばにいた。


女子とも当たり障りなく過ごしたけど、


別に大して仲良くなれずにいた。


分からなかった。


どう仲良くなるのかが。






「こんなこと言うのも変だけど、私嫌がらせを受けてた毎日だったから、それに慣れちゃってさ」






この人たちのせいでね。


そうやって嫌味を含めながら、


笑って凛に言ってみた。






「大和も京也も、女の子と仲良くなろうとしないし。私はそばにいるだけなのに、疎まれるし。本当最悪って思ってた」





高校の入学式の日。


凛と話すまでは、


高校も絶望的だとしか思っていなかった。


そんな私が変われたのは。


凛がずっといてくれたから。


それに、大和と京也が、


凛を私の友だちと認めてくれたから。


それが1番大きいような気もする。






「私が高校で1番大きな出来事は」





凛が、居てくれたおかげで、


今の私がある。






「本気で大好きな、親友が出来たこと」





大和も、京也も、凛も。


私にとってはかけがえのない人だ。







「凛、いつもありがとう」





「明香ぁぁ!」






凛は涙を流して私に抱きついた。


こんなことで涙を流すなんて、


昔の私には考えられない光景だ。






「なんか俺ら嫌味言われてたけどね」





「その都度、守ってたつもりだったけどな」






男2人はブツブツ文句を言いながら、


私たちそれぞれを摩ってくれた。





< 304 / 325 >

この作品をシェア

pagetop