そこには、君が
よん
11月になり、
寒さが本格的になってきた。
あれから、停学が解けた大和とは、
相変わらずの仲で一緒にいる。
凛はというと。
「昨日、春太さんとご飯行ってきたの!」
とまあ、こんな調子で、
1人幸せモード全開中。
私は、未だに4人で遊ぶことを、
断り続けている。
「明香は、どう?」
「私?私は…変わらず、かな」
相変わらず、
顔も知らない人を好きでいる。
だけどそれ以上にはなれない。
なぜなら、勇気がないから。
「このままで、いいの?」
「…いいの」
今は遠くから見ていられれば、
それで満足だから。
なんて言い訳をして、
結局ただの意気地なしなだけなんだけど。
「あ、今日ね」
「ん?」
話の途中で、
担任に呼び出され中断。
「また後で話すね」
結局、凛の言いかけたことを、
聞くことは無く、
放課後を迎えた。
「私、そろそろバイトしようかなって思ってて」
「私も。お金、ほしいよね」
なんて言いながら、
2人で駅前をウィンドウショッピング。
買いたい物を2人で眺めながら、
ぶらぶら歩き回る。
すでに真っ暗な午後6時。
いつものように、凛と別れ、
家に向かうこと数分。
角を曲がったらもうすぐ家、
という所に。
「え、」
「どうも」
思ってもみなかった人。
「何で…篠田さん…」
「驚くよね、ごめん」
あえて苗字で呼んで、
少し距離を取ってみる。
篠田さんは、少し切なそうに、笑った。