そこには、君が
「仰せのままに」
どこで覚えたのかそんな言葉。
大和は口角を上げ、嬉しそうな笑みを浮かべる。
私をじっと見つめると、
頬を優しく撫でた。
「大…和っ、」
「泣くな明香」
見つめられる瞳が私を射抜く。
限られた時間が止まればいいのにと、
何度も考えた。
別れではないのに。
離れるだけなのに。
「ここにいろって、言わないの?」
大和だったら言いそうなセリフ。
だけど私は大和を見くびっていたようだ。
「言わない」
「…どうして?」
真っ直ぐに、私を見下ろす。
話す私を見ながら、
着ていた服に手をかける大和。
「どうしてって、」
唇と唇が、あと寸センチの所で。
「お前がどこにいようが、隣にいるのは俺以外あり得ねえから」
そう言った。
大和はそういう男だった。
私が決めたことを、
応援しているのが十分に伝わる。
そうだね。
私の隣には、大和以外あり得ない。
「きて、」
私から迎えに行ったキスは、
段々激しさを増していく。
髪を撫でている大和の手に、
私は解かれていく。
体が徐々に熱を持っていき、
疼く度合いも強くなっていた。
「やぁ…んっ、大和、」
私の弱い所を全て網羅しているかのように、
私を這う手が心地良い。
優しい指触りが、刺激してくる。
「ここだろ?」
「あん…んん、だめっ、」
「あと、ここ」
「もうっ…嫌、言わない…でよっ、」
余裕のない私は、
1つ言葉を話すのにも必死なのに、
私に何をされても余裕な大和は、
じっと私を見ている。
「私も、する…っ」
「だから、いい…っ、ばか、」
「させてよ…、私も」
今まで一度だって、
大和に何かしたことは無い。
それは全て大和に阻止されていたから。
「私も、気持ちよくさせたいの」
「お前っ…っとに、ばか…、」
私は空いている手で、
大和の腹部をなぞり、
大きくなったそれに手を伸ばす。