そこには、君が
『着いたら連絡して』
「うん。絶対する」
『気をつけて、行ってらっしゃい』
また、背中を押してくれた。
「行ってきます!」
電話が切れた携帯には、
大和とのツーショット写真が
待ち受けとして映し出されている。
弱気な自分は、
もうそこにはいない。
「よし。行こう」
勇気を出した一歩は、
昨日の私にとっては重たいもの。
だけど今の私には、
軽快に感じた。
これからどれだけの困難が待ち受けているか、
全く想像もつかない。
きっと困ることも不安になることも、
数えきれないくらいあるだろう。
この18年間、ここで学んだことが多くある。
人を想うことや信じることの大切さ、難しさ。
何かを伝えることの順序や方法。
全て知れたわけではないかもしれないけど、
これだけは言えるということは、
私1人では何も出来なかったということだ。
これから先、私は1人で頑張らないといけない、と
勝手に追い込んでいた。
だけど、そうじゃないんだ。
大切な凛という友だちがいて、
私を見守ってくれている幼馴染の京也がいる。
そして、絶大なる私の味方が出来た。
そこには、君が。
大和がいてくれる。
だから私は大丈夫。
そう強く胸に刻み、
私は携帯を握りしめ、
搭乗口へ向かって行った。
ーFINー