そこには、君が
11月も差し当たり、半ば。
風もめっきり冷たくなって
外に出ればもう白い息。
「あとタコだけ?」
「卵足りないんじゃない?」
文化祭、体育祭という
学園祭を明日に控え。
「何でおめーらの買い出し付き合わなきゃねーんだよ」
「ていうか、普通に重い」
買い出し係になった私と凜は、
クラスの違う大和と京也を引き連れ
たこ焼きの買い出しに。
「もー、とっとと終わらせろ」
「うるさいな、2人とも」
ぶつぶつ文句を言う2人に、
一喝する。
町中を歩きながら、
途中なのに大和がベンチに
座り込んだ。
「休憩くらいさせろ」
「俺も。座ろーと」
座り込む2人に、
私と凜はしばらく見つめ合って。
仕方なく2人で行ける場所へ、
行くことにした。
「じゃあタコ買ってくるね」
そう言う私に。
「おー、早く行けよタコ」
だなんて、暴言を吐く大和。
うっさい、ばか。
そう言い残して凜と背を向ける。
近くにスーパーあったっけ。
そう言いながら歩き回って、
見つけたスーパーに入店。
「タコ発見~!」
大きめのタコを手に取ると、
凜は嬉しそうにカゴに入れる。
私は何か飲み物欲しくなり。
「凜、飲み物見に行こ」
「いいよ」
暖かい店内に、
冷たい飲み物が並ぶコーナー。
少し手を擦りながら、
何がいいかな、なんて。
「ココアなんていんじゃない」
突然。
後ろから聞こえた声。
「わっ…、な、んで」
声にならない声が出る。
後ろには徹平さんと柴崎さん。
「春太さん!何で!」
「今日飲み会でさ。買い出し係なんだよね」
明香ちゃん、久しぶり。
柴崎さんは私にそう言うと、
凜と楽しげに話し始めた。
「飲み物買いに来たの?」
「あ、いえ。私たちも買い出し係で」
「え、飲み会すんの?」
「ち、違います!明日の文化祭の…」
慌てて事情を話す私を見て、
徹平さんは笑っている。
彼を見て私は、
あの電話を思い出した。