そこには、君が
「凜ちゃんも来る?飲み会」
隣で聞こえる会話に、
驚きを隠せず。
「え、凜行くの?」
思わず声を出してしまう。
凜は嬉しそうな顔をして、
私を見つめる。
きっと行きたいんだろう凜は、
私にお願いをするような目で
じっと見つめていて。
「ばか春。誘ってんなよ」
そんな私たちをよそに、
徹平さんは柴崎さんにそう言って。
「明香ちゃん、なに飲む?」
「あ、えっと」
どれにしようか。
悩んでいる私の横から。
「これがおすすめです」
なんて言いながら、
徹平さんはホットココアを手に取り。
明香ちゃんのには負けるかもだけど。
悪戯っぽく笑って、
レジに向かって歩いて行った。
「はい」
どうぞ。
何も言わずにココアを買ってくれた
徹平さんから、受け取る。
礼を言うと、少しだけ笑って。
「今から帰るの?」
送って行こうか?
そう言ってもらった矢先。
「こいつら誰」
背後から聞こえる声に、
体を震わせた。
しまった、忘れてた。
「や、大和。何でいんの」
「お前らおせーから」
私と凜を挟むように、
大和と京也が佇む。
見えないというか、
見れないが正しいんだけど。
「誰だって聞いてんだよ」
「誰って別に…」
めんどくさい展開になった。
どう切り替えそうか。
そんなことを考えていても、
何も始まるわけもなく。
「うるさい、2人に関係ないでしょ」
帰りますの意味を込めた
礼を軽くして。
ややこしくなる前に、
凜の手を引いて学校に向かった。
もう何考えてんの、大和も京也も。