そこには、君が
にの

いち






休みが明け。


学校もいつも通りになった月曜日。




「明香、今日お弁当?」




「うん、京也ママが3人の作ってくれた」




たまに気まぐれで、


大和と京也のお母さんが


3人分作ってくれる。




「美味しそうだね」




「でしょ!一昨日もね、みんなで鍋したの」




結局買い出しをしにスーパーへ。


何鍋にするか喧嘩になり、


じゃんけんで勝った大和の案で、


キムチ鍋に。





「…そっか」





なぜか凛は。


少し黙り込んだ。


そして意を決した顔で私を見ると。





「明香さ、」




「うん?」




「土曜日、行かなかったんでしょ?」





忘れようとした。


徹平さんとのこと。





「なんだ、知ってたんだね」




「春太さんに聞いてね」




そっか、と。


それ以上2人の間に会話は生まれなかった。


多分私がそうさせてしまった。


重たい、触れたくない空気を、


作ってしまったから。





「ごちそう様」





私はお弁当箱をしまうと、


立ち上がり教室を出た。


保健室にでも行こう。


余計な話、





「明香!」




したくなかったのに。





「なに?」




「こんなこと言うの、余計なお世話だと思うんだけど…っ」





追いかけてきた凛は、


息を切らして言葉を続ける。





「徹平さん、今風邪引いてて寝込んでるの」




「え…徹平さんが?」





思いがけないことに、


少し動揺した。






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