そこには、君が
それかなら何事もなかったように、
普通の日常がやってきて。
あれだけ暴れていた大和は、
意外と次の日から普通で。
私もあえて触れずに、
気を遣い続けて2週間が経った。
いつもと変わらない、朝。
少し早めに登校した私は、
宿題をやり忘れたことに気付き、
自分の席で教科書を広げていた。
「あーすーかー!」
息を切らし、
朝から全力で駆けてきたのは。
「なに、朝から…」
凛だった。
「どうしたの?」
「明香、あのねっ…」
肩で息をする彼女を摩り、
落ち着かせながらも筆記用具を
片手にペンを進める。
「あのっ…、えっと、」
急にバツが悪くなったのか、
顔を歪ませて首を傾げ始める。
「もーなに、」
「何でも…ないっ!」
何でもないわけないのに、
普通に話を変える凛を見て、
あえてなにも言わなかった。
何だか、凛の口から出る言葉が、
不思議も怖かったから。
「今日、放課後どっか行ける?」
「あーごめん、今日楽しみな日だから」
相変わらず、私は、
誰の誘いでもちゃんと
決まった日には断っていた。
今の私に、必須なもの。
私を癒すあの音たちを、
全身が欲している。
「そうだね、了解」
「買い物?」
「あ、ううん!大丈夫!」
歯切れの悪い凛に、
不信感を覚えつつも、
担任が入ってきたことで、
それぞれが席へ。
何を言いたかったのか、
分からないまま1日が過ぎた。