そこには、君が
「徹平さん…、終わりましたよ~」
エンディングが流れ、
私は寝ている彼を突付く。
徹平さんは眠そうにしながら。
「明香…」
そう声を漏らした。
私の名を、呼んだ声が、
愛しくて胸がいっぱいになった。
「俺まじで寝てた」
「寝てましたね」
人込みを避けるように、
私たちは肩を並べて外へ。
冷たい風が一気に体を冷えさせ、
室内に戻りたくさせた。
「まだ時間ある?」
唐突に、
そんなことを聞くものだから。
「え、あ…あります、」
動揺を隠せず、
詰まらせてしまった。
そんな私を優しく見つめて。
徹平さんは連れて行きたい所がある、
と言って、私をリードするように
先頭に立った。
「寒い…」
人が行き交う街中を歩き、
気付いたら見覚えのない所へ着いた。
そこは遊具があまりない、
人気がない公園。
木が生い茂っていて、
広いわけでもない。
ここで一体、
何をするというのか。
「わー久しぶりだぁ」
私は何年振りかの公園に、
はしゃぎを隠せず、
目の前にあるブランコに駆け寄った。
なんだかそわそわして、
動かずにはいられない。
街灯に照らされる徹平さんが、
やけに真面目な顔をするものだから。
「よく友だちと遊んだんですよ」
「明香ちゃん」
「…や、でも勝てなかったっけな」
キコキコ聞こえる音に、
集中している私。
だけど彼の声は聞こえている。
それでも1度、答えなかったのは、
きっと恥ずかしかったから。