そこには、君が
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「え!え!ええええぇぇ!」
「ねー声大きいから!」
次の日。
学校で1番に凜に報告。
「付き合うって…!てか、同一人物とか…」
「信じらんないよね」
そう信じられない。
今でもまだ。
「永森くんたちに言ったの?」
聞きにくそうに聞く凜に、
遠慮がちに首を横に振る。
そうだった。
それを忘れていた。
「言わなきゃなんない…よね」
「後からバレるよりいいでしょ?」
…そうだよね。
後から知られたら、
絶対面倒なことになる。
分かってはいるんだけど。
…普通に怖い。
「明香」
そこへ。
「うわああぁ!や、大和…」
噂をしていた張本人が現れた。
私は驚くあまり、嘘くさい
驚き方を見せてしまい。
「んだよお前」
「な、何だよ…」
「ぶっさいく」
大和は私を見ながら笑うと、
プリントを机の上に出した。
「なにこれ」
「配っとけってさ」
それだけ言うと、
大和は自分のクラスへ
帰っていく。
私は背中を見送ると。
「もう、疲れたぁ」
力が抜け、
机に全身を預けた。
まるで骨を抜かれたように、
力が入らない。
「何回もこんな思いしなくないでしょ」
「……」
分かってるんだけど。
でも。あーもう。
頭の中だけでは、
何も考えられなかった。