そこには、君が
よん
今日は雨が降っています。
もうすぐそれが、
形となって、
雪になるでしょう。
そんな今日この頃。
「ねねね!明香!」
「え、なになにっ…」
昼休み、
前に同じクラスだった子が、
急に教室に駆け込んできた。
私の名前を呼ぶものだから、
変に慌ててしまう。
彼女たちは目の色を変え、
私に問いただすような格好で
立ちはだかると。
気の抜けることを言った。
「大和くんって彼女出来たの?!」
「…彼女?」
その子たちの話によると、
最近よく一緒にいる所を見かける
女の子がいるとのこと。
「そんなばかな…」
「本当だって!今、食堂で見かけたもん!」
大和はいつも決まってお弁当で、
教室で京也と食べているはず。
なんで食堂に、しかも女の子と
一緒にいるの。
「今日お弁当忘れちゃった」
「じゃあ食堂行く?」
そんな噂から数日経って。
偶然が重なったか、
大和が彼女らしき女子と
いる所はまだ目撃していない。
強いて言うなら、
今日いまこの瞬間、
凛にお弁当がないことを言われ、
食堂へ行くことを促すまで忘れていた。
「今日のおすすめは…」
「日替わりかな、やっぱり」
食堂の入り口にある、
メニューを2人で見ていると。
並んでいる列の中に、
大和と京也と女子を見つけた。
「あれって噂の?」
「そうだと思う、多分」
3人で並んでいる姿は、
違和感を感じさせた。
なぜならそこにいる女子が、
あまりにも地味だったから。
肩より少し長めの黒髪に、
化粧なんて全くしていない顔。
制服は着崩す様子もなく、
おまけにメガネをかけている。