そこには、君が
学校に着くと。
校門に立っていた男が、
私を見つけて硬い表情を見せた。
なぜ朝から大和が、
私を待っているのか。
「明香」
おはよう、も何もなく。
ただ名前を呼ぶ大和。
私はそんな彼を、
ひたすら無視して足を進める。
「無視してんじゃねーよ」
「痛ったい…」
通り過ぎる私を、
逃がすまいと手を引く。
その力が強すぎて、
振りほどけない。
「明香」
「なに。話すことないけど」
私との約束を忘れるくらい、
あの子に夢中ならそれでいい。
私がなにも知らないあの子の
そばにいればいい。
「昨日のことは悪かった。けど、」
「けど、なに?言い訳するの?」
一気に怒りがこみ上げて、
また訳の分からない怒りに
襲われる。
なんで私はこんなに、
むしゃくしゃしてるのか。
「お前、おかしいぞ」
「おかしいのは大和でしょ?」
「本気で言ってんのか、お前」
気付けば私たちは
周りに注目されていて。
指導部の先生が止めに
入ってくる始末に。
「いいから教室に行け!!!」
無理矢理校舎内へ連れていかれ、
大和と離れた私は今のうちと
教室へ急いだ。
廊下でもみんなに見られ、
大和のせいだと余計に腹立った。
「徹平さん素敵すぎる!」
「もう朝から幸せすぎたよ〜」
お昼休み。
昼食を食べながら、
朝の出来事を話す私と凛。