そこには、君が
次の日。
大和の話を聞こうと意気込んだのは
いいものの。
なかなか時間が合わず。
「4限目、体育じゃん」
「本当だ。更衣室行かないと」
体操服を手に、
教室を出る。
更衣室に続く廊下を歩きながら、
ふと外を見た時。
「…ん?」
一生懸命目を凝らす。
視力がいい私だけど、
断定は出来ない。
だけど。
「ね、凛」
3人。
目立ちそうな女子が、
誰かを囲って罵っていた。
「え、何…いじめ?」
「行ってあげた方がいいよね?」
何故か体が動く。
いじめられている人を、
助けるとか厄介なこと。
いつもならしようとか、
思わないのに。
「先生〜!!ここです!」
何も考えないまま、
私はそう言いながら
駆け寄った。
周りにいた女子は、
やばいと言いたげな顔を見せ、
逃げ去って行く。
そんな逃げるなら、
初めからしなければいいのに。
「もー制服汚れてるし、」
「大丈夫ですか?」
凛と2人で駆け寄り、
制服の砂を手で払う。
目の前にいるその子は、
肩を震わせ泣いていた。
「あの人たち行ったから大丈夫だよ?」
慰めのつもりで声をかけた。
いじめになんか、負けないで。
心の中でそう思いながら。
大丈夫だよ。
そう言おうとした時。
泣いている目の前の人が、
私の顔を見る、と同時に。
「榛名!」
大和の声が聞こえた。
なんでここで大和?と
思いながら、
頭の中でリピートされる。
…ハルナ?
「棚橋さん…」
その人は、
大和といつも一緒にいた、
あのハルナさんだった。