そこには、君が





「京くん違うのっ!これはっ…」




「うん、さようなら」




「え、待って!聞いて…っ」




「明香、立てる?」





もう京也は、彼女のことを


視界から外し、私を見る。


伸ばされた手を取り、


そのまま繋ぎっぱなし。






「京也のばか。本当最低すぎる」





「ごめん、明香。許して?」





私は京也と手を繋いだまま、


校舎に向かう。


彼女は縋るように、


京也の制服を引っ張る。





「待って!京くん、私っ」





「もう話すことないよね。触んないで」





出た、ブラック京也。


甘すぎるくらい優しいのに、


一旦キレるととことん冷たい。






「どけよぶす。ぶーす」






京也と彼女の間を割るように、


大和は暴言を吐きながら割って入る。


彼女は泣き崩れて、その場に座り込み、


友だちに慰められている。


待って、慰められたいの私なんですけど。






「気を付けるのよ」





「ありがとうございました」






保健室の先生に手当てしてもらい、


教室に戻ることに。


手当ての間、2人は廊下で


待機してくれていて。







「明香、本当ごめんね」





「いいよ、もう」





「女ってまじ怖いな」






本当怖いと思った。


こんなに人を好きになれることは、


すごいなと思ったりもするけど。


私いつも誤解されるけど、


この2人とは何もないし。


むしろ他に気になってる人、


いますって公言しようかと思うくらい。


気になってる人…今日もいるかな。






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