そこには、君が
さんの

いち






不安は突然。


やってくる。





「昨日お兄ちゃんがね!」





クラスのHRの時間。


担任が用事で職員室に


戻った時のこと。


3月には卒業な私たちは、


最近卒業アルバムの作成で


忙しい。





「彼女と喧嘩したんだって」






グループで話し合っている中。


1人のクラスメイトが、


昨日の出来事を話す。






「お兄ちゃん大学生なんだけど、彼女じゃない他の女の子と、遊んでたらしくて」






周りの女子をはじめ、


私も凛も食い付いて話を聞く。


その子のお兄ちゃんは、


とてつもなくモテモテのイケメン。


女性関係の面白い話を、


よく聞かせてくれる。






「ダメでしょって言ったら、大学生はみんなしてることだってさ」






大学生は、


みんなしていること。






「お兄ちゃん見てて思うけど、大学生と付き合うのは怖いね」






自然と凛と目が合って、


2人で頭を横に振った。








「さっきの話…」





「うん、何回も頭に浮かぶよ」






帰り道。


大通りをいつものように、


歩いているつもりが


なぜか2人とも足取りが重い。


何かあったわけでもないのに、


変な胸騒ぎがする。






「あの2人に限って…」





「ないって信じたい、けど」






柴崎さんは、


徹平さんに聞く限り、


凛を大切にしてる。


だからきっと、


他の人に目が向くはずがない。


徹平さんだって…、


そんな人だと思ってない。






「…ん?ねぇ」






思ってないけど。


あんな話聞いたら、


不安になる。






「…嘘だ」





「あれって…」





車道を挟んだ向こう側を、


女性と並んで歩く徹平さんと柴崎さん。


女性は私たちより年上で、


すごくオシャレに着飾っている。


スタイルもよくて、


大人な雰囲気。





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