深夜1時のラブレター


「この前、会社に置いたままだった私物を宅配便で送って貰ったんだ」

「あ、それ私がやりました」

「そうなの?ありがとう。でさ、その中にこれらが紛れていてさ」

「これは……」

「全部あいちゃん宛の手紙だよ」

「え?」



私宛の手紙?嘘でしょ。

だってちゃんと荷物を仕分けして、間違いないように送ったのに。

そう思いながら、1通、また1通と手紙を手に取って見てみると、確かに"柊木亜依様"と書かれている。

どうして、これが日野さんのところに……。


「僕のロッカーに入ってたやつでしょ?これ。箱に僕の名前を書いてあるから中身までは見なかったでしょ?」

「あ、そう言えば」

「僕があいちゃん宛に届いたファンレターを勝手にプールしてた。理由は嫉妬心ってところかな?謝るよ、申し訳ない」



日野さんは私に向かって深々と頭を下げた。

私をそれを手で遮る。

過ぎたことだし、こうやって直接持って来てくれただけでも、嬉しい。そう言うと、日野さんは安堵したように表情を緩めた。



「でね、あいちゃん。話しはここからなんだけど、その字に見覚えはない?」

「え?字ですか?」

「うん。後ね、これは言ってなかったことなんだけど。僕はあの事件の日。あいちゃんの家には行ったけど、手紙をポストに入れたりしていないよ。あの日だけじゃなく、他の日も。1度もない」

「それは、どういう……?」

「僕はあいちゃんの様子を見に行っただけ。それを、あの背の高い男の子に勘違いされただけだよ」




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