深夜1時のラブレター


背の高い男の子って……ほまれのことだよね?

手紙を入れてないってどういうこと?でも、あの時、ほまれは手紙を入れたところを見たって言った。

それに、何度かほまれが"また入れられてたよ"って、私に持ってきたよね。



「(――――まさか)」



そんなことってあるだろうか?

いや、可能性はゼロではない。けど、勘違いであって欲しい、犯人は誰か別の人であって欲しい。

そう願いながら段ボール箱の中にある手紙を開封して、中の文字を見る。

……その筆跡は、嫌がらせに書かれたのと同じもの。

そして、送り主の名前は「S.Homare」だった。



「ところで、あいちゃん。ストーカー被害にあってたの?」

「え?」

「そんな話を聞いたことなかったからさ」

「……っ!」



そうだよ、そうだよ、私、どうして気が付かなかったんだろう。

ストーカー被害にあっているなんて、誰にも言ったことない。そもそもそんな被害にあってない、ただ嫌がらせをされていただけ。

でも――ほまれは、確かにこう言ったんだ。



『あいは何も心配いらないよ。仕事も恋愛もきっとうまくいくよ。ストーカーも片付いたしね』



私はあの時、日野さんが捕まったから、そう言ったのだと思っていたのに。

あれは、ほまれの虚言だったの?



「嫌がらせが日野さんじゃないなら、どうしてあの時言わなかったんですか?それなら会社を辞める必要も無かったのに」

「いや、手紙は僕じゃないけど、色々と妨害はしたからね」

「妨害?……あ、もしかして原稿の読み間違い?」

「あいちゃんはしっかりしてそうに見えて、抜けているからたまに心配になるよ。その手紙、中身をちゃんと読んでごらん」

「……はい」



――――――――――……




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