深夜1時のラブレター
なんで?とか、どうして?とか。
そんな質問には、なに1つ答えて貰えなかった気がする。
人懐っこい笑顔と、遠慮の知らない素振りで。
千切れんばかりに尻尾を振っていたよね?
今思えば、もうこの瞬間から、私の懐の中に彼が居た。
「お願い!1ケ月だけでいいから、ここに住まわせて」
玄関で私を出迎えた男の子は、私をリビングの中に引っ張って行くなり、両手を頭のところでこすり合わせて、居候させてくれと言い出した。
あまりに急なことに、リアクションが取れずにいると。
「タダでとは言わない!お金入れるし、掃除もするし、料理は出来ないけど、手伝いはする」
「いや……無理だよ」
「お姉さんの言うこと、何でも聞く!」
「そんなこと言っても無理だって」
「そこを何とか!」
悪い子には見えないし、何か事情があるのかも知れないけど、さすがに見ず知らずの未成年の子供を家に置いておくわけにいかないでしょ?
……というか、
「家出してきたの?ご両親は?」
巻き込まれたくないんですけど。
「違う、家出じゃないよ」
「じゃぁ、どうして?」
「それは言えない」