深夜1時のラブレター
とはいえ。
自分で考えた企画が1つ成功したというだけで、番組の進行にしても、話しをする内容にしても、先輩パーソナリティーたちに比べたら、足りないことだらけ。
現状に満足するなんて、まだまだ先だ。
「日野さん、反省会しましょう!何か悪かったところ言ってください!」
「出たよ、このド根性娘」
「あたりまえじゃないですか、浮かれてる場合じゃないです」
「あいちゃん、本当に仕事が好きだよねぇ」
だらーんとした顔で、バナナを頬張る日野さんに、今の言葉をそっくりそのまま返してあげたい。
あなた一体、いつ家に帰ってるの?
* * *
「こんばんはー」
「いらっしゃいませ!」
「今日、来てます?」
「来てる来てる。さっきからずっーと難しい顔をしてタブレットを叩いてますよ」
「わー、やっぱり帰ろうかな」
明け方の4時。
こんな時間からでも来店OKのこのお店は、会社から少し離れた場所ある、知る人ぞ知る隠れた名店だ。
マスターが1人と、バイトの男の子が1人と、マスターの奥さんがたまに顔を見せる程度のこじんまりしたところだけど、お酒と小料理が美味しくて、お気に入りなんだって。
私じゃなくて、時枝ディレクターが、だ。