深夜1時のラブレター
どこの誰で、どうしてこんなところに居るのか。
自分のことを何にも言わないほまれだけど、最初に感じた通り、家族や友達に愛されて大事に育てられたのだろうなぁ、と、彼を見てるといつも思う。
私も彼のようになれたら、良かったのに。
「あいは、困ってる人を助けてるだけでしょ。偉いじゃん、人助けが出来るなんて」
頭の上に、ずんっ、と何かが乗る。
おそらくそれは、ほまれの顎で、少し掠れたテノールの声が耳の傍で聞こえた。
「ほまれは困ってるの?」
「んーちょっとね」
「どうしたの?何かあるなら言ってよ」
「……聞いてくれる?」
「私に解決できることならね」
お金とかあんまり貸してあげられないし、保証人とかはさすがに無理だけど。
そんなことを考えていると、ほまれは足をバタバタとばたつかせながら喉を鳴らして笑った。
「あのね、さっきから、ずっとムラムラしちゃっててさ」
「え?」
「だって、あいが可愛いんだもん。ねぇ、しよ!」
「ちょっと、困ってるって、それ?」
「うん!」
「もう!馬鹿!」
私は真剣に考えていたのに……と、肩透かしを食らった気分になる。
それでも、無邪気に笑うほまれの腕に包まれていると、何だか全てがどうでも良いようにも思えた。
彼の腕の中は、温かった。