深夜1時のラブレター
時計で時間を確認したほまれは、まだ間に合う!とスマホを手に取る。それからあっという間に仕事をキャンセルし、今日はずっと一緒に過ごせるね!と嬉しそうに笑う。
……時々、思うのだけど。
ほまれは人の心の中に入り込む、天才だ。
だって、こんな風に目をキラキラさせて、大きく振った尻尾が見えるくらいに喜びながら、あいと一緒に何しようかなぁ?なんて考えてる姿を見たら。
可愛いって思っちゃうでしょ?
そんなに喜ぶなら、何でもしてあげたくなるもん。
「本当の本当に、今日は仕事入らない?」
「ないよ」
「急なロケとか、取材も?」
「ないない、完全なオフ。スマホの電源も切った」
というのは、半分嘘で半分本当。
仕事用の電話は別に持っていて、休日でも緊急の連絡が入るのは良くあること。もちろん、普段の私ならどんな時でもすぐに駆けつけられるようにしているわけだけど……。
今日は、このままずっとほまれの笑顔を見ていたくて、仕事用の電話も電源を落とした。
「よし、じゃぁ、デートしようよ!」
「どこいくの?」
「それは、これから考える!」
そう言ったほまれは瞬く間に出掛ける準備を済ませ、行こう!と、私の腕を引っ張った。