深夜1時のラブレター
「ちょ、ちょっと待って、私も着替えるから」
「どうして?あいはそのままでいいじゃん」
「よくないよ。これ普段着だし、すっぴんだし!」
どこで誰に会うか分からないでしょ、そう続けると、ほまれはニコっと笑って私の頭を撫でた。
「あいはすっぴんでも充分可愛いよ。服装だって俺はそういうラフな方が好き!」
「……ほまれの好みは聞いてないよ」
「えー、デートの相手なのに?ね、もう本当にいいじゃん。早く行こうよ、時間が勿体ない」
「あ、もう!」
ほまれに急かされながら、せめてもと帽子と大きめのニットを手に持って家から出る。
コンビニだってこんな格好じゃ行かないからね、そんな文句を言いつつ、心は弾んでいた。
デートしよう!って誘われるのも、どこに行くか決めずの取りあえず家を出るのも、懐かしくてちょっぴり新鮮。
大人になると、どこそこのお店に行きたいとか、面白いイベントがあるからとか、何かしら目的が無いと出掛けたりしなくなるものだけど、こんなのも良いな。学生時代に戻ったみたいだ。
「あい、早く!」
「はいはい、ちょっと待って。郵便ボックスだけ見る」
「手紙?」
「うん、昨日、チェックしてなかったから」
「早くね」