深夜1時のラブレター


ほまれは、意外とせっかちだなぁ。

散歩の準備が整ってリードを付けて貰ったら、もう興奮が収まらなくて、その場で飛び回るワンコみたい。

そんなことを思い笑いながら郵便ボックスの蓋を開けて――――、息を飲んだ。



「どうしたの?」

「……うん」

「何それ、ちょっと見せて」

「あ、ほまれ!」



郵便ボックスに入ってあったのは、くしゃくしゃに丸められた紙で、そこには赤いペンでデカデカと"消えろ!"の文字が。

他にも同じような紙があり、それらは同様に、"ウザい!""調子乗るな""死ね"と書かれてあった。



「何だよ、これ……誰がこんなこと」

「ただの悪戯だよ」

「それにしちゃ酷過ぎるよ!」



ほまれは、紙を手に持ったままワナワナと震えている。

純粋かつ真っ直ぐな性格の彼は、こんなにも悪意を剥き出しにした行為を受け止めきれないだろう。

……失敗した。何だろうね?って、適当に誤魔化してさっさと捨てれば良かった。



「気にしないでいいよ、あのね……よくあることだから」

「どういうこと?」

「うーん、職業柄というべきか、妬まれたりするんだよね。それでたまに嫌がらせさせる。でも、こういうのは気にした方が負けだから」



さすがに家の郵便ボックスってのは、びっくりしたけどね。

でも、まぁ、会社まで徒歩5分のところに住んで居るわけだから、調べようと思えば誰だって出来ることだ。





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