深夜1時のラブレター
あいは、強いね。
手を繋いで歩き出したほまれは、ポツリとそんなことを言う。
ひんやり冷たい秋風に少し背中を丸くしながら、赤や黄色に染まった木々をゆっくり眺める。
こんな風に視線を上にあげてのんびり歩くのも久しぶりだなぁーと、小さく伸びをする。
目的が無いままダラダラと歩いて、何となく公園に足を踏み入れた。
「ねぇ、デートの定番と言えば?」
「定番?……うーん、とね」
ほまれは小さく唸りながら、公園の中にぐるりと見渡した。
それからすぐに、あっ!と、声をあげる。私の意図していることが分かったらしい彼は、顔を綻ばせた。
「ボートがある!」
「まさに、定番でしょ?」
「うん!あい、乗ろうよ」
「いいよ、漕いでくれるならね」
「えー、一緒に漕ごうよ」
ほまれは、”一緒"という言葉をよく使う。
何かをしようとすると、すぐに自分も一緒にしたいと言うし、逆に、先に済ませてしまったら、一緒にしたかったのに、と拗ねる。
単に甘えたなのか、それとも、共有意識が強いのか。
そんな風に思っていたけど、そこにはちゃんとした意味があったんだよね。
ボートのオールを漕ぐのは、見ているよりもずっと難しくて。
同じようなところをクルクル回ってしまい、ふたりでお腹がよじれるほど笑った。