深夜1時のラブレター
迷子?……と。
その言葉は使わなかった方が良かったのかもしれない。女の子は改めて自分が置かれてる状況と、私たちの少し慌てた様子に、オロオロとし始め、やがて大粒の涙を落とした。
じっと我慢していたものが、切れてしまったのだろう。
ハンカチ、ハンカチ、と、ジーンズのポケットを漁ったけど、急に家を出て来たものだから、あいにく持ち合わせてなく。
さっきのお店でおしぼりを貰いに行こうかと思案するよりも早く、ほまれが動いた。
「泣かないで」
女の子と視線を合わせ、親指で彼女の涙を拭く。
それからニコッと笑って、大丈夫!お兄ちゃんが傍に居てあげるから!と力強く頷いて見せた。
ほまれは、とても優しい子だ。
困っている人がいると、真っ先に助けようとする。当たり前であって当たり前に出来ないそのことを、率先してやろうとする。
きっと、私がさっき、嫌がらせで困ってると弱音を吐いていたら、自分に出来ることをしようとしてくれただろう。
誰にでも優しい、誰にでも心配そうな顔をする。
……変なの、私、ちょっと面白くないって思ってる。変なの。
「秘密戦士ルルーちゃん?」
「うん!そう!」
「可愛いね、この子、好きなんだ」
「うん、パパがね、かってくれたの!」