深夜1時のラブレター


順風満帆とまでは、言わないけど。

割と思い描いた通りの人生を歩んできた。

そしてこれからも、歩んで行くものだと思ってた。

彼は、そんな私の人生の中に突如として現れたサプライズ。

きっと神様が気まぐれに投げ込んだもので、いつしか忘れてしまうだろうと。

そんな風に思っていたの。

思っていたんだけど、ね。





「大喧嘩!?」



大きな声を出した私に慌てた杏子が、シーと唇に指をあてる。

会社の近くにあるカフェは、平日せいか人がまばらで、私の声は予想以上に響いたらしい。



「ごめんごめん、それで?」

「うん、あいつ消費者金融に借金してたの。それでもう頭にきちゃってさ。あんたなんかもう知らないって言って家を飛び出しちゃった」

「うわー。ちなみにいくら?」

「7桁」

「ごめん、ないわ」

「しかも理由はギャンブル」

「ありえない」



人の彼氏のことを悪く言うのは嫌だけど、ギャンブルのために借金をする男なんて最低。しかも、7桁ってすぐに返せる額じゃないよね。



「今回はまともだと思ったんだけどなぁー」

「顔は良かったよね、背も高かったし」

「そうそう、それだけよ。良いところなんて」




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