深夜1時のラブレター
「ごめんね」
「いいよ、ホテルにでも泊まるから」
杏子の良いところは、サバサバしているところと、切り替えの早いところ。
友達より彼氏を優先した(という体)私を責めることもないし、見限った男のことをグチグチいうこともない。意識は常に、次、だ。
「あーぁ、やっぱり次は年上かなぁ?時枝さんっていくつだっけ?」
「今年32歳」
「ということは、8歳上か!それくらいだと人生経験も豊富だよね」
「まぁ、そうかな」
「私、思ったんだけど、男は余裕があるくらいの方が良いと思うんだよね。ガツガツしてないというか、ヤキモチ妬いたり束縛したり、そういうのが嬉しいのは初めだけでしょ?」
そうかなぁ?そういうものかなぁ。
でも、全くヤキモチ妬かれないのも、放置されまくるのも、寂しいもんだよ……と、この間のりゅうじさんを思い出して、心が重くなる。
すっかり冷えたコーヒーが、やけに苦く感じた。
「うん、決めた!次はうんと年上の人にする。というわけで、誰か紹介して」
「は?私が?」
「誰かいるでしょ?時枝さんの友達とか」
「知らないよ」
りゅうじさんの友達なんて紹介されたことなんかないし、そもそもあの人に友達なんかいるの?