深夜1時のラブレター



そりゃ大学時代の友達とかいるかもしれないけど、社内で人とつるんだりしている姿を見たことがないから、あまりピンとこない。

というより、私とりゅうじさんの関係は、杏子にしか話しておらず、社内ではあくまで上司と部下。

だから、そういう彼氏の友達を紹介してとか、後々面倒になりそうなこと、頼まれても困るんだけどな……。

と、その時だった。



「うわ、な、何?電話?」



ガラステーブルの上に置いてあったスマホが大音量を鳴らしながら、振動して、それにびっくりした杏子が鞄を床に落とした。



「杏子、大丈夫?」

「あー、やっちゃった。大丈夫大丈夫。あいは電話に出て」

「うん」



いつもは大きな音が鳴らないようにしてるのに、どうして今日に限ってこんな大きな音が?

……あ、もしかしたらほまれかも。昨日、私のスマホで何かしてたし。帰ったら絶対文句言ってやる。

そんなことを考えながらスマホを耳にあて、床に散らばっている杏子の持ち物を拾ってはテーブルの上に乗せていく。

電話は日野さんからで、すぐに社に戻ってくるように、というものだった。



「会社に戻れって?」

「うん、話があるって」

「何かしたの?あい」

「やめてよー」



不吉なことを言わないで。

そんな冗談を交わしながら、最後の落とし物を杏子に手渡して、あれ?と思った。

この赤い色のマジックペンって……。




< 43 / 109 >

この作品をシェア

pagetop