深夜1時のラブレター
そりゃ大学時代の友達とかいるかもしれないけど、社内で人とつるんだりしている姿を見たことがないから、あまりピンとこない。
というより、私とりゅうじさんの関係は、杏子にしか話しておらず、社内ではあくまで上司と部下。
だから、そういう彼氏の友達を紹介してとか、後々面倒になりそうなこと、頼まれても困るんだけどな……。
と、その時だった。
「うわ、な、何?電話?」
ガラステーブルの上に置いてあったスマホが大音量を鳴らしながら、振動して、それにびっくりした杏子が鞄を床に落とした。
「杏子、大丈夫?」
「あー、やっちゃった。大丈夫大丈夫。あいは電話に出て」
「うん」
いつもは大きな音が鳴らないようにしてるのに、どうして今日に限ってこんな大きな音が?
……あ、もしかしたらほまれかも。昨日、私のスマホで何かしてたし。帰ったら絶対文句言ってやる。
そんなことを考えながらスマホを耳にあて、床に散らばっている杏子の持ち物を拾ってはテーブルの上に乗せていく。
電話は日野さんからで、すぐに社に戻ってくるように、というものだった。
「会社に戻れって?」
「うん、話があるって」
「何かしたの?あい」
「やめてよー」
不吉なことを言わないで。
そんな冗談を交わしながら、最後の落とし物を杏子に手渡して、あれ?と思った。
この赤い色のマジックペンって……。