深夜1時のラブレター
ガチャリという音がして、リビングのドアの高さすれすれのほまれが、少し首を傾げながら部屋の中に入って来る。
どこかその辺、という表現がしっくりくる軽装で、寒さのせいか耳と鼻の頭を赤くして、手には缶コーヒーのボトルを握りしめていた。
「どこ行ってたの!」
「え……と?散歩だけど、どうしたの?あい」
「どうしたもこうしたも、」
急に居なくなって、びっくりさせないでよ。
口から飛び出そうになる言葉を何とか抑えて、顔に手を当てる。
そんな私を見たほまれは、しばらくの間ポカンとした後、長い腕を伸ばしてギューと抱き付いてきた。
ひんやり冷たい服の下に、ほまれの体温が伝わってくる。
「ね、あい。もしかして、俺が出て行っちゃったと思った?」
「……しらない」
「俺が家に居なくて、寂しかった?」
「そんなわけないでしょ、もう離してよ」
「ふふふ、嘘ばっか。あい、すっげぇー可愛いんだけど」
なによ、年下のくせに。
言っとくけど、別にほまれが居なくても寂しくとも何ともないんだからね。
そんな可愛げのない言葉を吐き出してやろうと思ったのに、顔をくしゃくしゃにして笑いながら、私の頭を撫でるほまれを見ていたら、何も言えなくなった。
「もう黙って居なくならないでよ」
ぎゅーと掴む。
苦しいくらい長いキスをする。
この時、確かにほまれはここに居た。