深夜1時のラブレター



* * *



「あれ!ケーキがある!俺、イチゴ好きなんだよね」

「そうなんだ、食べる?」

「いいの?」

「いいも何も、1個はほまれの分だよ」



そう言うと、冷蔵庫の前で屈んでいたほまれが、やったー!と嬉しそうな声をあげる。

私はそんな可愛いらしい彼と、そのくせ、男らしい背筋のギャップに見惚れていた。

なんだろう?すごく鍛えているって感じの体じゃないけど、均等にバランスが取れた綺麗な体。彫刻で出来ているみたい。

そっと近づいてその背中に手を触れると、ほまれはくすぐったい!と身をよじった。



「ね、なんかいいことあったの?」

「ん?」

「だって、夜中にケーキなんて買ってくるの珍しくない?」

「あー、実はね、今度新しく番組を持つことになって」



本当はもっと、すごいでしょ?みたいな感じで報告したかったけど、間があいてしまったせいもあって、さらりと流すような言い方になる。

気持ちが落ち着いたってこともあるかな?

ちょっぴり照れくさい。

そんな私と対照的に、ほまれは目をキラキラと輝かせて満面の笑顔を見せてくれた。



「すごいじゃん!あい、おめでとう!」

「ありがとう」



お祝いしなきゃね。

ほまれはそう言って、ろうそくは無いかと私に尋ねる。

ろうそくを立てるのは、誕生日だけじゃないの?そう首を傾げる私に、彼は屈託のなく、おめでたいんだからいいんじゃない?と笑った。





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