深夜1時のラブレター
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パーソナリティーの仕事は、番組放送の他にも色々ある。
百聞は一見にしかず。ありとあらゆる情報を声だけで伝えるためには、まず自分が見て触れて感じることが必要。
そのため、話題のものがあれば直接見に行くし、複合施設などで行われるイベントの司会に呼ばれることもある。
それらは楽しいこともあるし、正直いってキツイことも少々。
番組にゲストで迎えるアーティストの取材でライブに招待して貰うなんてのは、まさに楽しいことだけど、ちょっと変わり種で、稲刈り体験に行かされた時は、勘弁してよと思った。
「おはようございます」
けれど、そうした体験の1つ1つが、パーソナリティーとしてのキャパシティーを広げてくれるなら、頑張るしかない。
「おはようございます、今日は冷えますね」
「ねー、風邪ひかないようにしてくださいね」
会社の入り口で守衛さんと挨拶を交わしてから、エレベーターホールに向かう。その途中でポケットに入れてあったスマホが振動し、ラインメールが届いた。
"夜道は危ないから気を付けてね"
ほまれだ。
了解と短く返すと、あんまり遅くなったら駄目だよ、と怒った顔をした犬のスタンプが返ってくる。
それが拗ねた時のほまれとあんまりにも似ていて、笑みを零した時だった。
「あ、あいちゃん、ちょっと」
血相を変えた日野さんが、向こうから走って来た。