深夜1時のラブレター
「どうしたんですか?日野さん」
あまりに勢いよくこちらに来るから、思わず身構えてしまう。
カツ、カツ、カツ…っと、彼の履いている靴の音がエレベーターホールに響き、周りにいた人たちも、何だ?という顔をしている。
ものすごく嫌な予感。
日野さんは私の腕を掴んで、エレベーターのボタンを押した。連打だ。
「あいちゃん、上に行くよ」
「あの……?」
「大変なことになってるんだよ、もう回線がパンク状態」
「え?」
「説明するより自分で見た方が早い」
……なに?
重苦しい空気と一緒にエレベーターに乗り込んだ私は、言いようのない恐怖が押し寄せてくるのを感じた。
そして14階に着いた瞬間。
私の目と耳に飛び込んできたのは、ひっきりなしに鳴る電話と、その対応に追われるスタッフたちだった。
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そんな声が、あちらこちらから聞こえる。
大きな溜息と共に電話の受話器を下ろした杏子が、私の姿を認めるなり、眉毛のハノ字にさせ、そんな彼女の後ろから、時枝ディレクターが姿を見せた。
「柊木、ちょっと来い」
「はい」