深夜1時のラブレター
この状況を作り出してしまったのは、間違いなく私なんだろう。
それはもう言われなくても分かるけど、何をやらかしてしまったのかは、想像がつかない。
体中に突き刺さるスタッフの視線に身を縮まらせながら、渋い顔で腕組をしている時枝ディレクターのところに向かった。
「時枝さん、あの」
「この状況に心当たりはあるか?」
「いえ……」
「クレームだ」
胃の辺りが、ひくっと痙攣した。
「あ、あの」
「お前、このあいだの水曜日、山城の代理をしただろ?」
「はい。えっとお昼からの放送ですよね?」
山城というのは、私より3つ上の先輩パーソナリティーで、先週の月曜日からインフルエンザで欠勤している。
彼女は月曜日から金曜日までのお昼の時間に帯で番組を持っていて、私はそのうちの木曜日の放送を代理で担当したのだ。
「毎年恒例のうちが主催している年末ライブ、その先行予約を番組で紹介しただろ?その日時が間違って伝えていたんだ」
「え?日時を!?」
「お陰でライブに行けなくなったという人が多数出ている」
「そんな……」
まさか!そんな初歩的なミスを?
じゃぁ、このひっきりなしに鳴っている電話は、番組の放送を聴いたリスナーからなの?
「すみません、私、」
「謝るのは後だ。今は振替のチケットを用意するように手配してるから、日野に聞きながら出来ることを手伝え」
「はいっ!」
「それから、お前な……」
「―――――――え」
私の顔をじっと見つめた時枝さんは、やがて深い溜息を落とした。
嘘でしょ?最悪。