深夜1時のラブレター
「断じて、あいのせいじゃない」
「でも!」
「あぁ、もう頑固だなぁ。違うってば。それに、あの人も本気で刺すつもりは無かったみたいだよ」
「え?」
小声で聞き返したつもりが、ついつい大きな声になる。
しー!と唇に指をあてたほまれは、私の手を握って、ドリンクの自動販売機が並んでいるところまで、引っ張って行った。
薄暗さに慣れていたせいか、自動販売機の明るさに目がチカチカする。
「日野さん、だっけ?あの人、なんか寂しそうな目をしてた」
「寂しそう?」
「うん、何となくだけど」
ほまれはそこで視線を落として、気のせいかもしれないけどね?と、小さく笑う。
でもきっと本気で危害を加えるつもりはなくて、脅してやろうと思った程度だと思うよ。
そうも付け加えて、私の頭をポンポンっと叩いた。
彼はきっと、私と日野さんの関係性に気が付いて、私が傷つかないように気を遣ってくれているのだろう。
実際に怪我をさせられて、怖い思いだってしただろうに、どこまで優しい子なの?
「……あい?」
気が付くと、ほまれに抱き付いていた。