深夜1時のラブレター



可愛いほまれ。

ずっとこのままで居て欲しい。

――――その時だった。



「あれ?どうしたの、何かあった?」



ふいに、私たちの後方からそんな声が掛かり、後ろを振り向くと口髭を生やした男の人が立っていた。

誰だろう……?

40代後半くらいの、普段はきっと優しそうな顔をしているだろうその人は訝し気な表情を浮かべて、ほまれの顔をじっと見ている。

いや、見ているというより、凝視しているといった感じ?



「ほまれ、知り合い?」

「あ、いや……」



歯切れの悪いほまれは、何でもないです、と短く答えて席を立つ。

それから私の腕を掴んで、もう帰ろう、と促した。



「ほまれくん――」

「本当に、何でもないですから」

「……それならそれでいいんだけどね」

「うん」



どうしたんだろう?明らかに様子がおかしい。

何か言いたげな表情を浮かべてほまれの様子を窺う男の人と、男の人に何も言われなくないような素振りを見せるほまれ。

思えば、ほまれの知り合いに会うことなんか初めてで、私の知らない彼を覗いてしまった。

――そんな気分がした。




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