深夜1時のラブレター
病院で会ったあの人は、誰だったのだろう?
あの人に会ってから、明らかに様子がおかしくなったほまれ。
そして、様子が戻ったと思ったら、今度は――。
「あいー、俺の服も脱がせて」
「自分で脱げるでしょ?」
「腕が痛いから無理!」
「かすり傷じゃなかったの?」
「……たった今、重症になった」
いつになく、甘えたなほまれ。
私は彼のことを知っているようで、何も知らない。
例えば――――。
「あいって、そこ好きだよね」
ほまれの鎖骨に唇を当てる。
綺麗な肌の上をゆっくりと滑らせていった先、ほくろが3つ並んでいるのは、知ってる。
キスが深くなるたび、ぎゅっと手を握る癖があるのも知ってる。
サラサラの髪の毛に指を差し込んで、撫でられるのが好きなのも知ってる。
「ほまれ……」
「くすぐったい!」
脇腹が弱くて、くすぐられるのが苦手。
肌と肌を密着させて体温が溶け合うまで、ぎゅーとくっつくのが好き。
「あい、好きだよ」
゛今゛の、ほまれのことなら、何でも知っているはずなのに。
ふとした瞬間に現れる゛過去゛については、何も知らない。
「私もほまれのことが――」
「駄目だよ、あいはそれを言っちゃだめ」