深夜1時のラブレター
もし、日野さんが、パーソナリティーだったら。
どんなラジオ番組を作っただろう?
きっと愉快で、和気あいあいとしてて、ずっと聴いていたいと思えるような番組だっただろうな。聴いてみたかったな。
日野さん。
あなたは一体どんな気持ちで、私のサポートをしてくれていたの?
「胸糞悪かっただろうね」
「ちょ……杏子、言い方」
「だって、そうじゃない?入社してたった2年目の小娘が、どんどんキャリアアップしていくんだもん。私だって、見ててムカついたし」
「う……」
「しかも、あの鬼の時枝ディレクターが、唯一目に掛けていたわけだし。見るからにえこひいきしてたもんねー。そりゃ潰したくもなるわ」
「なんか、ごめん」
「だから、そういうのがむかつくんだって」
「……」
「ま、私はそんなことで子供じみた嫌がらせなんかしないけどね」
ニヤリと笑った杏子は、私の頬を突いた。
例の嫌がらせの件で、もしかしたら、犯人は杏子かも。
そんなことをチラリとでも思ってしまった私に、彼女はきっと気が付いてる。
気が付いていて、それは口に出さずに、こうやってチクチク嫌味を言ってくるんだ。
意地悪のようで、私を気遣ってくれている。
杏子らしい励まし方だと思う。
「よく言うよ、ちゃっかり日曜日の番組を担当しているくせに」
「”棚ぼた”ってやつよね」
「あー、何度聞いても悔しい!コネにくせに」
「それ、あいが言う?コネも実力のうちでしょ」