深夜1時のラブレター
雅哉さんの番組は、杏子が引き継ぐことになった。
この件に関しては、りゅうじさんが何としても私を後任にさせると言って推してくれたけれど、人事部長の一声によって、杏子に白羽の矢が当たったのだ。
ちなみに、その人事部長は、杏子の新しい彼でもある。
こんなんでいいのか、うちの会社……とも思わなくもないけど、杏子の努力は、同期の私が1番よく知っている。
実力あってこその、コネだ。
――彼ならきっと、そう言って笑うだろう。
「……日野さん、どうしてるかな?」
「何?気になるの?」
「なるでしょ、普通」
「風の噂では、田舎に帰ったそうよ」
「そうなんだ」
日野さんは、あの事件のあと会社を辞めた。
表向きは一身上の都合による依願退社となっているが、警察沙汰を起こしたことを理由に、上層部から退社勧告を受けた……とか。
話が曖昧なのは、上司であるりゅうじさんにも、上からの詳しい説明はなく、私やほまれが警察に被害届を出さなかったことも一因している。
日野さんは、あのまま姿を消してしまったのだ。
「S市の方だったかな?向こうでのんびりしてんじゃない?」
「うん、そうだね」
そうだといいなぁ。