深夜1時のラブレター
きっともう時間に追われることもなくて。
朝の光ととも目を覚まして、太陽と一緒に1日を過ごして、夜になったらぐっすりベッドの中で眠る。
そんな当たり前のようで、当たり前じゃなかった生活を彼は過ごすことが出来ているかな?
時々、ラジオを聴いてくれるかな?
ねぇ、日野さん。
あなたは私のことが嫌いだったかもしれないけど、私はあなたのことを嫌いになれません。
「きっと、今頃反省してるよ」
「そうかな?」
「もしくは、禁断症状が出てる頃かもね」
杏子は意味ありげにそう言って、バナナチップスを口に入れた。
私たちの記憶にある日野さんは、いつもバナナを手に持っていて、こっちがドン引きするくらいのハイテンションで、屈託なく笑っていた。
あんなに働いていたのに、あんなにいつも会社に居たのに。
彼が居なくなっても何とかなるもので、今日は相変わらずの忙しさで仕事は回っている。
――――そう、何とかなるんだ。
居なくなっても、それが当たり前になって、忘れ去られていく。
誰だって、きっと。
「さーて、仕事に戻りますか!」
「だね、リード作らなきゃ」
「あれ?あいのスマホ、鳴ってない?」
「え、本当だ」