深夜1時のラブレター



杏子に言われるまで、全然気が付かなかったけど、数分前からいくつかのメールが受信されていた。

会社からの呼び出しか?と、メールボックスを開いてみれば。



「何?何?”正月の予定は空けておけ”?」

「あ、ちょっと勝手に読まないでよ」

「”会わせたい人がいる”って、これ!いよいよじゃないの!?」

「杏子ってば、スマホ返して」



小学生じゃあるまいし。

人のメールを勝手に音読するとか、止めてよ!

恥ずかしさから変な汗をかく私を、杏子は楽しそうに眺め……いや、満足そうに眺め笑って頷いた。



「これ、時枝ディレクターよね?」

「だから、何」

「うーわ、照れちゃって」

「うっさいなぁ」



ほらほら、仕事に行くよ、と。

伝票を手に持ち立ち上がった私の肩に腕を回した杏子が、囁くように呟いた。



「時枝さんって、何か優しくなったよね」

「え?」

「あいに対して、すごく優しくなったって言ったの」

「……」




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