深夜1時のラブレター



”そうかな”って、この時は、軽く受け流して誤魔化したけど。

私自身、それは何となく感じていた。

時枝隆司といえば、愛想なし、気遣いなし、釣った魚に餌をやらないといった、まさに俺様ドSのキャラクターだったのに……。

最近やたらと、優しいのだ。



「悪い、少し遅れた」

「郵便局に用事があったので、ちょうど良かったですよ」

「来てくれたんだな」

「……約束しましたし」

「そうか」



年が明けて、1月2日。

昨日の夜遅くまで泊まり込みで仕事をしていたので、あけましておめでとうございます、と挨拶するのも、変な感じがする。

ここは、お疲れさまです、かな?それとも、おはようございます?

ぐだぐだ考えているうちに、早く中に入れと言わんばかりに、りゅうじさんが助手席のドアを開けた。

今まで、こんなことしなかったくせに。

そんな悪態を1つ、それから、駅のロータリーで同じようにして迎えの車待ちをしていた晴着の女性に、”お先に”と心の中で声を掛けて、車の中に乗り込んだ。



「腹減ってないか?」

「大丈夫です」

「そうか、じゃぁこのまま直接行くぞ」

「あの、りゅうじさん、会わせたい人ってのは……?」

「着けば分かる」





< 85 / 109 >

この作品をシェア

pagetop