深夜1時のラブレター



* * *



「まぁ、遠いところ、よう来てくださいました」

「あの、私……」

「寒かったでしょう?どうぞどうぞ、中に入ってください」

「お、お邪魔します」



これは、どういうことなの!?

三和土のところで靴を脱いでいるりゅうじさんに目で訴える。けれど、彼はやっぱり涼しい顔をして、家の中に入って行った。

その向こうで彼のお母さんが、どうぞどうぞ、と再度声を掛けてくれて、私はまたペコリと頭を下げた。

お正月に会わせたい人がいるなんて言われからには、全く予想をしなかったわけではないけれど。

ひとことくらい言ってくれても良かったんじゃないの?



「何の構いも出来ませんが、ゆっくりしていってくださいね」

「ありがとうございます。あの……手土産も何も用意してなくて、すみません」

「やぁねぇ、そんなの気にしなくていいのよ。どうせ、あの子が何も言わず勝手に連れて来たんでしょ?」



昔から、ああいう子なのよ。

温かいお茶を出してくれたりゅうじさんのお母さんはそう言いながら、朗らかに笑う。

60歳を少し過ぎたくらいの優しそうな雰囲気で、このお母さんから、あのりゅうじさんが生まれてきたとは思えないくらい柔らかい表情をする人だ。

そんなお母さんの後ろから、小さな女の子がひょこっと顔を見せた。

りゅうじさんの愛娘、沙良ちゃんだ。



「こんにちは」

「こんにちはー」




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