深夜1時のラブレター
「……りゅうじさん?」
私だって、その昔は沙良ちゃんのような小さな女の子で。
いつか大好きな人にプロポーズをされて結婚することを、夢見ていた。そこには”幸せ”という2文字しか存在していなくて、私は笑顔いっぱいで頷くものだと思っていた。
それなのに――――、
どうして、こんなに胸が痛いのだろう?
「別に急がなくてもいい」
「りゅうじさん」
「ゆっくり考えてくれたらいいから」
「あ、あの――」
その時だった。
「パパぁー!おねぇちゃんー!こっちこっち!」
ひとり先に公園に着いていた沙良ちゃんが、私たちの姿を見つけ、大きく手を振っている。
りゅうじさんは、そんな沙良ちゃんのところに駆けつけ、彼女に何か話をしてから、傍を離れて行った。
「沙良ちゃん?パパはどこ行ったの?」
「のみものを、かってくるってー!」
「そうなんだ」
「おねぇちゃん、ブランコのろうよ!」
「あ、ちょっと待って」
無邪気な沙良ちゃんは洋服が汚れるのも気にせず、雪で濡れたブランコに腰をかけようとする。
私はそんな彼女を止めて、ポケットから出したハンカチをブランコの上に乗せた。