深夜1時のラブレター
「突然、申し訳ない」
「いえ……」
「オンエアが終わる時間を狙って会社の入り口で待ち伏せしているとか、気持ち悪かったでしょう?」
すみません、他に方法が思い浮かばなくて。
そう付け加えて頭を掻く男の人は、やっぱり以前、救急病院で会った人で、今日もあの時と同じような渋い顔をしている。
確かに、明け方のこんな時間に、何のアポもなく来訪されるのは、気分の良いものではないけれど。
私の知っている限りで、ほまれと唯一接点のあるこの人が、訪ねて来た理由を知りたいという気持ちの方が勝った。
「失礼ですが、あなたはどういう……?」
「あ、そうでした。まずは自己紹介からします」
男の人はそう言って、スーツの胸ポケットから名刺を取り出した。
ブランドものの品の良い名刺ケースに、丁寧な渡し方。物腰の柔らかさから見ても分かる通り、怪しい人ではなさそう。
いや、それよりもっと……、
「大塚さん、ですか」
「はい」
「お医者さんだったんですね」
「ええ、前に亜依さんとお会いした病院に勤務しています」
受け取った名刺には、医学博士(脳神経外科)と書かれてあった。