深夜1時のラブレター
改めて、大塚さんをよく見ると。
白髪が少し目立つ40代後半くらいの中型中背で、フレームレスの眼鏡にダークスーツ、ビジネスコートといった服装。それらに乱れはなく、清潔感がある。
その真面目そうな雰囲気から、一見取っ付きにくそうに見えるが、案外話しやすく、言葉の選び方から頭の良さが窺えた。
私はあの時、ほまれの知り合いという認識しか持たなかったけど。
そうか……お医者さんだったんだ。
「あの日はちょうど夜勤でね」
「そうだったんですか」
「休憩しようと下に降りたら偶然、君たちに会ったんだ。びっくりしたよ、ほまれくんが綺麗な女の人を連れているもんだから」
「お世辞だとしても嬉しいです」
「いやいや、本当に。あの日は、ちょとしたトラブルに巻き込まれたそうだね」
「え?」
「彼に聞いたよ」
「ほまれにですか?」
「ああ」
大塚さんは大きく頷いて、目尻に皺を寄せる。
彼とほまれの関係って何だろう。
……なんて考えなくても、ある程度のことは察しが付く。
いや、勘違いであって欲しい、実に安直な考えだと笑って欲しい――けれど。
「ほまれくんは、今うちの病院に入院しているよ」